時を纏った織物

糸の束を結んで織る「結び織り」

木製の織機が、工房いっぱいに並んでいた。
織機が動く音に、「ダン、ダン。」と糸を打ち込む音が重なる。
その間を、利用者さんの声や職員さんとのやり取りが行き交っていた。

織物工房と聞いて想像していた、静かな空間とは違う。
それぞれが違う作業を担い、違う速さで手を動かしている。

職員さんは工房の中を歩きながら、作業の進み具合や利用者さんの様子に目を配っていた。
一枚の織物を作る営みは、複数の人の手によって動いていた。


織る前の営み

工房に並ぶ織機を見ていると、織物づくりは「織ること」から始まるように思える。

しかし、工程表をたどると、織機に向かうまでにも多くの作業がある。

まず、どのような模様にするのかを考え、図案を作る。使用する糸を選び、大きな糸の束を扱いやすい糸玉へ巻き直す。図案に合わせて必要な糸を準備し、織機に経糸を張る「機立て」を行う。糸の張りを一定に保ちながら、何本もの糸を織機に整えていく。

この現場でつくられているもの